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My読書ログ #8 : 『月の砂漠をさばさばと』北村薫 著・おーなり由子 絵

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何かのテレビ番組で、ピースの又吉…おっと、芥川賞を受賞された又吉先生(笑)が紹介していたこの本。

9歳のさきちゃんと、作家をしているお母さんとの日常を描いたお話です。夜寝る時、小さなあかりの中で、お母さんからできたてのお話を聞きながら眠りにつく幸せな毎日。ほっこりするユーモアのあるエピソードがたくさんだけど、楽しいことばかりじゃなく、楽しいことも、せつないことも、同じように受け止めて日常を丁寧に紡いでいる人々が描かれていました。

小学生のさきちゃんは、素直で可愛らしいけど、どこか子ども過ぎていないとこもある感じ。日常の色々を大体はそのまま受け入れ、お母さんのことを気遣い、いないお父さんのことは思い出しても口にしない。

「本当は、《それに、神様だったらそんな意地悪なことしないよ》と続けたかったのです。でも、この世ではいろいろなことが、──本当に信じられないようなことが──起こります。だから、そういい切る自信もなかったのです。」(文庫P.63)

時にざらざらする現実から、ほわほわの空想世界を行き来する、ストーリーの波を揺られていると、ほんのちょっとだけど酔うような違和感も。
でも、お母さんがさきちゃんを想う気持ちは、揺るぎないものとして垣間見られ、とても素敵なお話でした。


by kunisaru | 2017-07-24 00:01 | Comments(0)

Latte Macchiato(2018/04/14)


by kunisaru